厳しめレビュー『賭博師は祈らない』

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今回は『賭博師は祈らない』のレビューです。

どちらかと言うと、分析的(冷ため)なレビューです。
主に「ライトノベル作家を目指していて、その参考にしたい」と言う人に向けたレビューになっています。

なお、根幹に関わるネタバレはありませんのでご安心ください。

世界観

舞台は18世紀末のイギリス。

賭博師の主人公と、奴隷の少女の物語です。

ファンタジー要素はなく、ジャンルとしては時代小説ということになるでしょう。

ギャンブルモノと言えば、『カイジ』や『咲』が思い浮かびますが、本作は時代小説、しかもイギリスを舞台にしています。そのためこれまでになかった世界観と言えるでしょう。

ギャンブルのネタ自体は、知識のある人なら知っているくらいの内容が多く、ものすごく深い!という印象はありませんが、一方、舞台であるイギリスについてはかなり勉強されている印象を受けました。

キャラクター

ラザルス(ラザルス)

主人公のラザルスについては、なかなかキャラが立っていると思います。

彼は賭博師なのですが、「勝たない」ことを信条にしています。

賭博師は負けてはいけないが、勝ってもいけない。

そして、このスタンスが物語のクライマックス、さらにはエピローグにまで終始一貫されており、それが「トリック」になっていてカタルシスがあります。

リーラ(ヒロイン)

喉を焼かれ、声を発することができない奴隷の少女。

初めは躾けられた奴隷として、感情を表に出しませんが、ラザルスの優しさに触れて徐々に打ち解けていく。。。という展開。

声を発せないということで、少々描写的には難しいのかなという印象でしたが、途中から筆談できるようになるので、
小説を読んでいる側からすると特に問題はありませんでした。
(文字の上では、キャラクターが喋っているのも、書いているのも同じことですからね)

が、彼女になにかしらの魅力を感じるかというと。。。うーん。
正直萌えもないし、なにか胸を打つようなことをするでもなく。
少なくとも私はほとんど魅力は感じませんでした。

ストーリー

ストーリーについてはかなり完成度が高いかなと思いました。

特に前述の「勝たないし負けない」という主人公のポリシーが一貫されていて、それがストーリーのトリックになっており、ものすごく納得感がありました。

また、彼が最後に戦うのは「賭場」、つまりゲームを支配しているその相手、という展開もなかなか良い。いわば「神様」相手というわけですから。「絶対に勝てないだろ!」感があって熱い。

(ソードアートオンラインてキリトがゲームを運営している側の人間と戦う、という展開がありますが、あれと同じですね)

文体

時代小説特有なものですが、
文章の随所に「これは後の時代の〇〇で」といった「解説」が入るのに若干の違和感を感じました。

ただし、ストーリー展開上、解説が不可欠な部分もありましたし、そもそも「時代小説」だと意識すれば問題にはならないでしょう。

総評 電撃大賞の銀賞らしい佳作

世界観にオリジナリティがあり、ストーリーの完成度も高い作品でした。

異世界ファンタジーに飽きた人には一読の価値があるでしょう。


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