ラノベ新人賞一次落ちの作品には「家訓」がないのではないか。【創作法】


今回は、伝説の編集者三木一馬の『面白ければなんでもあり 発行累計6000万部――とある編集の仕事目録』から、心に刺さった内容ご紹介します。

それは作品には「家訓」が必要だということです。
家訓とは、「その物語で私がやりたいこと」のことです。
この家訓を決めたら、それを鉄の掟として、語を書くというのが、三木氏の主張です。

そして、大事なのは、この家訓は自分の「性癖」に沿ったものであること。
流行がこうだからこういうのでいこう、という話ではなく、
自分が心の奥底からこういうものが好きなのだ、という思いに沿って家訓を決めなければいけない。

そして、三木氏は「良い家訓」とは何かを次のように述べています。

他人に語ったあと、恥ずかしくなって布団の中でごろごろ転がる様な『後悔』が混ざっているもの

この一節が、私にはものすごく刺さりました。

「教室を襲うテロリストを、落ちこぼれの俺が撃退」「モデルをやるくらい美少女な妹とイチャラブな生活をする」というような痛々しい「妄想」を作品に盛り込む。
(言うまでもないかもしれませんが、前者は『魔法課高校の劣等生』、後者は『俺妹』)。

普通の人は、企画を考える段階で「あまりに恥ずかしい」と思って書くことをためらってしまう。
でも、そういう恥ずかしくなるようなものこそが本質なのでしょう。

だってエンターテイメントは「欲望のはけ口」なんですから。

本書には、「ラノベの新人賞に応募するも、一次選考であえなく撃沈」という方にはぜひ読んでいただきたい一冊です。
どうして自分の作品が面白くないのかがわかる一冊だと思います。


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