小説を書き上げることができない。
10年以上、それが私の最大の悩みでした。
小説を書きたいと思って書き始めるのですが、いつも最後まで書き続けることができず、途中で挫折してしまう。
そんなこんなで、10歳のころから小説を書き始めて、初めて長編小説を完成させたのが20歳のころ。
なんと、小説家になりたいと思ってから、最初の長編を書き上げるまでに10年間もかかっているんです。
しかし、社会人になって、小説を書き上げるためにはいくつかのポイントがあるということに気が付き、それから途中で挫折してしまうということがなくなりました。
ということで、まったくもってアマチュア素人の私ですが、
小説を書きあげるためのポイントをまとめていきたいと思います。
以前の僕と同じように小説を最後まで書き上げることができずに悩んでいる人にとって、少しでも役に立てば幸いです。
①毎朝、執筆する。
長編小説を書くという行為は基本的にはマラソンのようなもの。
森博嗣や西尾維新と言った速筆家でないかぎり、一か月~一年という長い歳月をかけて一作の小説を書くことになります。
そんな中、モチベーションが下がらないようにするのに大事なのが、「毎日、決まった時間に書く」ということです。
「決まった時間」がミソです。
「いつ書くのか」が決まっていないと「毎日書く」ことはできないんです。
結局書かずに一日が終わってしまうということが起きてしまいます。
(このことについては、『1440分の使い方』を参考にしました。この本では単に「やると決める」のではなく「いつやるか」を決めることが重要であると説いています)
そして、一番大事なのは、「毎日、執筆する」ではなく、「毎朝、執筆する」ということです。
夜ではダメです。朝です。
その理由は二つあります。
1つ目は、多くの社会人や大学生等「毎日からならず書く」ということは不可能だからです。
飲み会が入ってしまう。あるいは残業しなければいけなくなる。こういうことはザラにあると思います。あなたが「飲み会に行ってはならない」「六時には必ず家に帰ってくる」と決めているのであれば、夜を執筆時間にしているのもアリですが……
2つ目の理由は、朝起きてからの二時間が、一日で最も生産的な活動に向いている時間だからです。
(こちらについても『1440分の使い方』を参照)
「毎朝、執筆時間を確保する」、これがまず大前提です。
とはいっても、多くの人はそのために早起きをしなければならなくなります。
これはなかなか難しいことでしょう。
そこで、朝早起きできるようになる方法については、また別の記事で書いていきたいと思います。
②プロットと設定を完璧に決めてから書く。
さて、二つ目のポイント。それは小説の本文を書き始める前に、
プロットと設定を完璧に決めてから書くということです。
本文を書く前にプロットや設定を作り込むかどうかは、作家によって好みがわかれるところではあります。
しかし、今まで小説を書き上げたことがないという人は必ずプロットと設定を決めてから書き始めましょう。
その理由は二つあります。
一つ目は、事前にストーリーなどが決まっていないと、途中で「書けなくなってしまう」可能性が高いからです。
二つ目は、「考える」ことと「書く作業」をキッチリ分けた方が効率化が図れるからです。
人間は基本的には、一つのことをしている時の方が集中できます。
ストーリーを「考える」という作業をしながら、同時に文章を「書く」というのは、二つのことを同時にしていることになります。それゆえ効率的ではなくなります。
このことは「家を建てる」ということに置き換えるとわかりやすいです。
プロットを決めずに小説を書くということは、
設計図を書きながら、金づちをもって家を建てるようなものです。
まずはペンをもって設計図を少し書き、今度はペンを一度おいて、金づちを持つ。そして途中で設計図が間違っていたら、全部壊して最初からやり直し……。
もちろん、家と違って、創作は自由なので設計図なしでも最後まで書ききれる人間もいます。でも今まであなたにはその力がなかったから、小説を最後まで書ききれなかったのです。
そのことをまずは自覚しましょう。
なお、プロットの作り方については、『SAVE THE CATの法則』が本当にオススメです。
古典とされる『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術 』や『ストーリーメーカー 創作のための物語論 』等も悪くはありませんが、前者はやや語りが硬く、解説もわかりにくい、後者はエンタメを意識しきれていないと思いました。
③完璧な文章を書こうとしない。
「小説を最後まで書き上げる」という観点では、もしかしたらこれが一番大切かもしれません。
ポイント②でプロットを作ってしまえば、後はそれを文章にしていくだけです。
ポイント①で執筆時間も確保しているわけですから、いつか必ず小説は完成するはずです。
でも、実際のところプロットが決まっていても、小説を書けない、あるいは書くのが極端に遅くなってしまうことがあります。
その理由は「ストーリーをどうやって文章にしていいかわからない」からです。
そして、それは言い換えると、小説を書ききれない人間が、ある勘違いをしているということでもあります。
それは「初心者でも、市販の作品のような小説を書ける」ということです。
イラストなら「初心者はプロのようには書けない」とハッキリわかりますから、下手くそでもまずは練習しますよね。
だから「イラストがかきたいけど書けない」という人間はまずいない。「イラストをうまく書けない」という人はいますが。
一方、小説の場合「プロのような小説を書ける」気がしてしまう。
日本語のネイティブであるがゆえに、小説も書けるはずだと思ってしまうんです。
でもそれは大きな勘違いです。
時々そういう天才もいますが、多くの凡人はいきなりプロのような文章を書くことはできません。
なのに「プロのように書こう」と思って、うんうん悩んで、筆が止まってしまうのです。
だから、まずはこう考えましょう。
「とりあえず、どんなに拙くてもいいから書く」。
例えば、主人公が戦うシーンがあったとします。
しかしどんな風にそれを描写すればいいかわからなったら、
「主人公は、襲い掛かってきた敵を一刀両断した」とひとまず書いてみる。
そして、それ以上細かく書けないのであれば、そこで諦める。
そうしてどんなに拙くてもいいからプロットを文章にしてしまえばとりあえず小説は完成します。
もちろん、それでは新人賞は取れません。プロにはなれません。
でも、そうやって拙くてもいいからとにかく書きあげていかないと、一生上達しません。
それで、例えば「バトルシーンが上手く書けないな」と思ったら、後で好きな小説のバトルシーンを読んで勉強をすればいい。
でも、とりあえず書かないと、「自分はバトルシーンが書けないのか」ということにさえ気が付きません。
とにかくなんでもいいから書く。下手でもいいから書く。この心構えが大事なんです。
④悩むところは後で書く。
ポイント③で、「とにかく書く」ということが大事だということを述べました。
それをさらに深堀したものなのですが、
「とにかく書いて、どうしても書けないところは後回しにする」ことが大事です。
ここでいう「悩む」には「どうやって描写するか」「エピソードとエピソードをどうやってつなげるか」「この言葉の使い方があっているか調べる」といったことが挙げられます。
「拙くてもいいから書く」ことを実践したうえで、それでも筆が止まってしまったら、
その部分は後回しにする。そして後でゆっくり考える。
そうすることで、とりあえず文章が前にすすみ、全体の進捗が進みます。
「いや、後で悩むんだったら同じでしょ」と思った方。
それは違います。
なぜなら前にも述べるましたが、「考える」作業と「執筆する」作業を分けた方が、効率的にできるからです。
言い換えると、悩むところを飛ばすことで、文章を書く行為に「テンポ」が生まれる。だから結果として進捗が早くなる。
また、その時は悩んでいても、後になると急にひらめくということもありますし、
そもそもその悩み自体が意味のないものだった、ということもざらにあります。
だから、悩んだらとにかく後回しにしてしまう。これが大事です。
⑤キーボードには徹底的にこだわる。
今までとはちょっと毛色が違う部分ですが、実は結構大事なところです。
キーボードは、必ずストレスが一切かからないものを使って下さい。
千円そこらのメンブレン式のキーボードなんて論外です。
良いキーボードは、どんなに文字を打っていても疲れません。
そして、執筆をする速度もまったく変わってきます。
弘法筆を選ばずと言いますが、あなたは弘法ではありません。弘法ではないから最後まで小説を書けないのです。
以下、私が二十台以上のキーボードを試してきて、タイピングがしやすいと思ったものをまとめますので、参考にしていただければ幸いです。
予算三千円なら、 TK-DCP01BK。
予算一万円なら、thinkpad bluetoothワイヤレスキーボード。
最高級のものならば、HHKB。
⑥5分単位で進捗を管理する。
さぁ、最後に。
小説を挫折せずに書ききることができるようになった最大の原動力。
それはこの「5分間執筆法」です。
これは、
・5分で執筆時間を区切る(タイマーを使用)。
・5分で決められた文字数を書くことを目指す(私の場合250文字)。
・実際に書けた文字数を記録していく。
この5分間執筆法のメリットはたくさんあります。
・1時間書こうと思うとハードルが高いが、5分なら「とりあえずやるか」という風な気持ちになりやすい。
・5分間という短い時間を設定することで、「締め切り効果」が生まれて、
ダラダラ書くことがなくなる。
・5分間で決まった文字数を書こうと思うと、迷っている時間がなくなる。必然的に「完璧な文章を書こう」という気持ちが「とにかく書こう」という風に代わって、小説執筆がどんどん進んでいく。
・自分が5分間でどれだけ書けるのかがわかれば、計画を立てやすくなる(計画的に執筆できるようになる)。
などなど。本当にメリットが多すぎて、やらない理由が見当たりません。
とにかくオススメなので、ぜひ試してみてください。
というわけで、今回は「小説を最後まで書けるようになるためのポイント」のご紹介でした。
少しでもお役に立てば幸いです。