まるで今泉四段の人生を見ているような、そんな熱戦【NHK杯VS藤井聡太七段】


NHK杯一回戦。今泉健司四段対藤井聡太七段。
まるで今泉四段の人生を見ているような、名局中の名局でした。
藤井七段が頭を下げた瞬間、思わず涙がこぼれそうになるほど感動した本局について語りたいと思います。

なにからなにまで真逆の二人

藤井聡太七段。今泉健司四段。
ここまで正反対の二人もおそらくいないでしょう。

藤井聡太
最年少プロ
三段リーグを一期で突破
居飛車党
切れ味鋭い終盤
寡黙で冷静な少年

今泉健司四段
最年長プロ
三段リーグを二度退会
振り飛車党
泥臭く粘る終盤
声のデカイおっちゃん

何から何まで反対の二人。
その二人が、NHK杯という大舞台でぶつかった本局。
結果は、まったく予想していなかった展開になりました。

まるで今泉四段の人生のような一局

今泉四段と言えばなんといっても中飛車。
そして藤井七段と言えば、絶対に居飛車。

当然の帰結として、本局は中飛車対居飛車の対抗形に。

中盤、藤井七段が悪手(96手目3二銀)を指して今泉四段が必勝形に。
評価値で1600の差。攻めればおそらく勝てるという局面。

しかし一分将棋。結局今泉四段は守りの一手(97手目5八金打)を指しますが、それでプラスマイナスが逆転。
一気に藤井七段の必勝形に。

今泉四段は、最初の奨励会三段リーグ時代、次点(四段プロデビューした人の次に良い成績を収める)を二度獲得し、プロまであと一歩というところで結局プロになれませんでした
必勝形から決めきれず敗勢に。まさに、彼の人生をほうふつとさせる展開です

しかし、そこから粘り強く指します。

プロへの夢を絶たれた後も将棋を指し続け、再び奨励会に。しかしまたも夢を絶たれる。
それでも諦めずに将棋を指し続ける。
それが今泉健司の人生です。

ほぼ逆転は不可能という差がついても、最後まで力の限り指します。

物理的な意味でも、精神的な意味でも、文字通り力の限りと言う差し回しでした。
その圧は、テレビの画面越しでもすごい迫力

おそらく、藤井七段も冷静ではいられなかったでしょう。手つきにも焦りが出ます。

そして藤井七段ミスが出てとうとう逆転。
そこから、最後は冷静に指した今泉四段が勝利。

あと一歩のところで、勝ち切れず。
でも、それでも諦めず、最後は逆転勝利する。

これほど熱くなる展開はありません。
藤井七段が頭を下げ投了した瞬間、思わず涙が出そうになるほどの、まさに熱戦でした。

今泉健司の将棋が大好きだと改めて実感した本局

将棋は最後にミスした方が負ける。
まさに本局もそうでした。
逆に、最後まで粘れば、どんなに苦しくても勝つことができる。そのことを41歳でプロデビューして教えてくれた今泉先生ですが、今日の対局もまた、まさにそういう将棋でした。

私が将棋を始めたきっかけは、今泉四段の『介護士からプロ棋士へ 大器じゃないけど、晩成しました』を読んだのがきっかけでした。

そこから、今泉四段がアマチュア時代に出した中飛車の棋書を読み、中飛車の楽しさを知り、将棋にのめり込みました。

【万能戦法】将棋ですぐに勝ちたい初心者は「ゴキゲン中飛車」をやるべき【上達法解説】

そして今日、改めて今泉将棋に魅了されました。

今泉四段のご活躍をこれからも楽しみにしていきたいと思います。

 




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