久しぶりに当たりだと思う書籍でした。
内容はかなり堅実なものですが、しかしそれでいて実用的だともいえます。
「絶対に儲かる方法」を書いたマニュアル本の類と言うわけではなく、
かといって経済学を学問的な視点から解説した本、というわけでもありません。
この本は、極めて論理的にそれぞれの投資方法のリスクとリターンを記載した名著です。
株や経済学に詳しくない人には絶対に薦めたい「最初の一冊」です。
・資本主義とはなんなのか
・どうしたら人に騙されないか
そして、僕としては、株投資をする気がない人にこそ読んでほしい一冊だと思います。
その理由は本書の引用から説明します。
そこに自分の知らない神秘の世界があると勘違いして、そのまま当期の世界にのめり込んでしまうひとがあとを絶たない。とりわけ、これまでギャンブルに縁のなかったうぶで真面目なひとが一番危ない。
(p87)
まったく知らない人間こそ、あるときのめり込んでしまうのだと。
つまり「投資」に騙されるのを防ぐには、ある程度のことを知っておく必要があるのです。
個人的に金言だと感じた言葉をいくつか列挙していきます。
富を創造するには、他人より先に市場の歪みを見つけるしかない。事業であれ、投資であれ、この原則は同じである。なぜなら、それが資本主義なのだから。
(p127)
リスクとは、「損する可能性」であると同時に「儲かる可能性」でもあるのだ。
ここがファイナンス理論の一番のポイントなので、もう一度確認しておこう。「私は投資でリスクをとりたくない」ということは、「私はべつに儲からなくていい」というのと同じ意味だ。
(p143)
(世界恐慌について)多くの個人投資家が破産し、家を失い窓から身を投げたと伝えらえれているが、じつは暴落直前の最高値で株を買っていても、四半世紀後の1950年代半ばには損失は消え、その後は大儲けしたことになる。長期投資が可能なら、世界恐慌だってぜんぜん怖くない。なぜなら、有史以来、人類の経済規模は拡大をつづけているのだから……。
(p162)
投資は偶然性に左右されるゲームであり、確実にもうかつ方法などどこにも存在しない。だが、確実に損をする方法ならいくらでもある。
(p192)